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坂木司 / 動物園の鳥
最近解散してしまったSPARTA LOCALSの「ばかやろう」という歌に、こんな歌詞がある
ガキだった頃はなんとなく 大人になるって
強くなることなんだと 思い込んでたんだ
違う 違う
弱くなってくんだ
でも でも たまに笑うんだ
ひきこもり探偵シリーズ3部作のラストにあたる長編は、前作以上に『大人』について考える小説でした。
今回も、綿密なプロットというにはやや都合が良すぎる展開だった。
けどもうそれはいいのだと割り切れた。
この物語の登場人物たちが抱える心の闇とか、悩みとか、その先にあるものがこんなにリアリティをもって飛び込んでくるのだから、彼らにとってはどんなストーリーも、殻を破って飛び立つためのきっかけにすぎないのだろうと。
そんな風に、ときに理論的過ぎる自分の脳みそを意図的に封印させながら、一気に読んだ。
一気に読んでしまったせいか、エピローグはやや唐突で短いように感じてしまった。
彼らは本当に変わったのだろうか? 色々と想像する。
きっと、日常はあまり変わっていないのかもしれないな。
現実の僕らの人生だって、そんなもんだ。
支え、支えられる関係は、ただ寄りかかるのとは違う。
ただそれに気付くことが大切なのだろう。
ところで。
意気揚々と登場した新キャラ「美月」がたいして活躍しなかったのが残念だった。
もっと鳥井と絡ませろよ!
滝本の恋愛事情なんて興味ないんだって。鳥井と美月を出せ! ……ダメですか。
- 動物園の鳥 (創元推理文庫)
- 著:坂木 司
- 出版社:東京創元社
- 発売日:2006/10/11
坂木司 / 仔羊の巣
20歳を超えれば、社会人になれば、自動的に『大人』になるわけではない。
自分自身もまだまだ、そのあたり色々悩んでいるところだ。
シリーズ第二作。
正直言って、推理小説としては、前作以上に疑問が残る話になりました。読者に与えられた情報だけでは、鳥井は到底そこまでの結論に辿りつけない気がする。その辺の説得力が、あんまりない。
でもまぁ、前作の感想でも書いたけど、そこはこの小説にとっての本質ではないんだろうと思う。
シリーズ第二作にあたるこの作品は、『大人』がテーマになっているのかな、と、個人的には解釈しました。
巻末の解説でも全然触れられていないので、正しい読み方かどうかは自信がないのですが、少なくとも俺がこの本を読んで考えさせられたのは、「将来をきちんと見据えた人間」「全ての他者と対等に生きる意志をもった人間」といった意味での『大人』について。
特に一話目の社会人3人組の話は、私自身の現在の境遇に近いこともあって、色々と考えさせられました。
二話目・三話目では中学生や高校生も登場するが、彼らもまたその年なりに、いわゆる「大人」としての分別と、本質的な『大人』になれない幼稚さを合わせもって描写されている。
なんというか、生き方について、いろんな視点を与えてくれる作品です。
さてそんな中、不承不承新しい人々と出会っていく鳥井は、皆の成長に立ち会っていく中で、自らの巣立ちを迎えることができるのだろうか。
続きが非常に気になるところ。
- 仔羊の巣 (創元推理文庫)
- 著:坂木 司
- 出版社:東京創元社
- 発売日:2006/06/17
坂木司 / 青空の卵
うーん。不思議な小説ではある。
正直なところ、この本を読むことにしたきっかけが大したことなかったら、序盤で読むのをやめてしまっていたかもしれない。
読み進めたい意志が強かったので、結果的にはのめり込むポイントまでたどりつくことができたのだけど。
デビュー作ということもあるのかもしれないけど、色々読んでいて気になる表現とか、ご都合主義的な展開は多かった。少なくともミステリーとしては面白くないんじゃないかな。
でも多分、作者が書きたいことを小説として表現する上で、そういった部分はさして重要ではなかったのかな、と思う。本を読むときにそういうところだけ重視する人は、最初から想定していなさそうというか。
読んでいて痒くなってくる展開とか、こっ恥ずかしいセリフのオンパレードとか色々あって、ご都合主義のフィクションの塊のような物語。
きたるべき結末も全部見えている。主人公・坂木司がもっている「親友を独り立ちさせたいけど手放したくない」という葛藤は、この物語が結末を迎える時に解き放たれるのが半ば約束されているようなものだ。
そんなフィクションの塊の中で主人公が提起する悩み。それを自分自身の人生に置き換えたとき、とたんにもやっとしてくる。
自分は坂木なのだろうか。鳥井なのだろうか。あるいは鳥井にあこがれる坂木なのだろうか。
自分自身の中の欠けたピースにはまるでもなく、ただ気付かなかった、欠けていた部分が暴かれていく感じ。
これはずるい話だ、と思った。
あ、物語自体は綺麗なお話なので、誤解なきように。自分が勝手にもやもやしてるだけです。
とりあえず結末を見届けたい。個人的な評価をするのは、三部作全部読んでからだな。
- 青空の卵 (創元推理文庫)
- 著:坂木 司
- 出版社:東京創元社
- 発売日:2006/02/23


